Jan 20

横浜インターナショナルスクールのレビュー

横浜インターナショナルスクール(YIS)は、主に横浜周辺にお住まいの外国籍の方々に向けたインターナショナルスクールです。同校はプリスクールから12年生(3歳から高校3年生)までの教育を行っています。基本的な教育言語は英語ですが、そのほかにも日本語、フランス語、スペイン語、中国語、ドイツ語も教えています。また、同校は全寮制ではありません。

横浜インターナショナルスクールは、関東大震災直後の1924年に、わずか6名の生徒で創立された日本で最も古いインターナショナルスクールのひとつです。学校名に「インターナショナル」という言葉が日本で使われたのは、同校が2番目だと言われています。戦時中は休校を余儀なくされましたが、1955年に再開されその後急速に生徒数を伸ばしていきました。1986年に、国際バカロレア・ディプロマ・プログラムを採用しました。近年は国際バカロレアの一貫教育校となり、初等教育プログラム(PYP)、中等教育プログラム(MYP)、ディプロマプログラム(DP)を用いた教育を行っています。 

現在45カ国から700名を超える生徒が、横浜インターナショナルスクールで勉学に励んでいます。また、神奈川県横浜市中区小湊町に新キャンパスを建設しています。現在の敷地より約50%広くなるほか、校舎や本格的な運動場、2つの体育館、プールなどの設備を備える予定です。

 

入学者選考

横浜インターナショナルスクールは、神奈川県横浜市や東京近郊の国際社会における教育ニーズに応えています。特に、日本の教育システムでは対応不可能な海外赴任者のお子様の教育ニーズに応えています。同校は、入学者受け入れ方針に基づき、人種、肌の色、性別、ジェンダー表現、性的指向、宗教、障害、年齢、国籍、民族などで個人を差別することはありません。可能な限り多様な学習を望むお子様を受け入れています。社会性の課題や感情面の問題、学習上の困難、その他の特別な学習ニーズを持つ入学希望者については、校内の学習支援スタッフが審査を行います。その審査結果をもとに、最終的な入学判断は校長が行います。

 

横浜インターナショナルスクールへの入学資格についてですが、ご両親のどちらも日本国籍のお子様は、海外のインターナショナルスクールや外国人学校、または英語を主要言語とする日本の認定インターナショナルスクールで教育を受けた方に限り、入学する資格があります。ただし、最低でもご両親のどちらかが、英語で不自由なくコミュニケーションを取れることが求められます。

 

横浜インターナショナルスクールでは、日本に一時滞在している外国籍のお子様の教育に力を入れており、春休み(3月下旬)までの間、急な転勤で日本に来られたお子様のために、各学年に一定の枠を確保しています。基本的な入学資格を満たしている方であれば、先着順で入学が許可されます。ただし、定員を超えている場合は、定員に空きが出るまで順番待ちとなります。

 

ひとつの学年で定員を超える入学希望者がいる場合は、定員に空きが出るまで順番待ちとなる場合があります。ただし、入学希望者の兄弟や姉妹がすでに横浜インターナショナルスクールに在籍している場合や、YISのスタッフや卒業生のお子様、過去にYISに在籍したことのある帰国生については、順番待ちの中でも優先して考慮されます。また、YISでは、他に有効な教育オプションがあるかどうかの確認や、お子様の英語能力や一般的な学力レベル、クラスや学年の性別、国籍のバランスなどを考慮して入学を決定しています。

学校レベル別の具体的な入学や、英語能力に関する方針は、以下の通りです。

 

アーリーラーニングセンター(ELC)と小学校:

アーリーラーニングセンター(ELC)は、3歳と4歳の子どもたちを対象とした混合プログラムです。3歳児は原則として半日プログラムから始めますが、担任教師の提案と保護者の同意があれば、1日プログラムへ移行することも可能です。一方、4歳児は通常、1日プログラムに参加します。ELCへの入学を希望される場合、まず初期審査を受け、その後、必要に応じて保護者との面談を実施することがあります。

横浜インターナショナルスクールでは、K5(幼稚園から小学5年生)への入学を希望する際には、現在通われている学校と以前通われていた学校での成績、校長先生と担任の教師からの推薦状を考慮しています。また、お子様のカリキュラムに参加する能力を判断するために、YSIへの体験入学をご提案する場合もあります。

ELCと小学校では、他に学習上の要望等がなければ、英語能力に関係なく入学することができます。ただし、最低限の英語能力しかない5年生(小学5年生)の中途入学は推奨されていません。 

中学校: 6年生から8年生(小学6年生から中学2年生)への入学を希望するお子様は、正式な面接を受ける必要はありません。横浜インターナショナルスクールの入学希望者の審査では、推薦状2通(1通は現在の英語教師によるもの、もう1通は生徒をよく知る担任の教師によるもので、校長または学校長が副署しているもの。)が必要になります。それに加えて、お子様の学業成績を考慮するために、試験の受験を求められる場合があります。

また、入学希望者には、学校の教育プログラムに対応できる十分な英語力が求められます。

 

高校:

高校レベルでは、入学希望者は校長先生との面接に加えて、アカデミックカウンセラーや、場合によっては国際バカロレアのDPコーディネーターとの面談が必要な場合があります。横浜インターナショナルスクールへの入学希望者の審査では、過去3年間の成績証明書(過去に在籍していた他の高校の正式な成績証明書を含む)と、推薦書2通(1通は現在の英語教師によるもの、もう1通は生徒をよく知る担任の教師によるもので、校長または学校長が副署しているもの。)、それに加えて現在の数学教師による数学のプレイスメントテストに関する推薦書が必用です。

国際バカロレアのDPアカデミックプログラムの厳しさを考慮すると、9年生以上(中学3年生 以上)の出願者は、かなり高いレベルの英語能力が求められます。さらに、同校の卒業証書を取得するには、高校英語の4年間分相当の単位を取らなければなりません。 

出願を考えている学年に関係なく、横浜インターナショナルスクールはすべての入学希望者に対して実際に学校を訪問し、入学を希望する学校の校長先生に面談することを奨励しています。 

入学希望者の英語能力が必要条件を満たしていない場合、同校はどの段階でも英語能力の判定を要求したり、体験入学をしてもらう場合があります。また、入学の条件として、保護者の方に自費による英語の補習指導を依頼する場合もあります。

 

教育

国際バカロレアの継続校として、国際バカロレアの初等教育プログラム、中等教育プログラム、ディプロマプログラムを採用しており、全学年において質の高い国際志向の教育を提供しています。 

 

生徒は「IBの学習者像」を通してクリティカルに考えたり、教えられたことに対して疑問を持つことが推奨されます。生徒たちが取り組む問題は、地域的な視点と国際的な視点の両方から組み立てられます。IBカリキュラムは、特定の政府や国のカリキュラムから独立しているため、各科目の最も重要な部分を取り入れることができます。IB資格取得者は、研究を含む厳しい学習や大学レベルの授業に、十分対応できる能力を備えています。

 

アーリーラーニングセンター(ELC):

3歳から5歳までのお子様は、国際バカロレアの初等教育プログラム(PYP)の原則に基づいた遊びを中心としたカリキュラムで、音楽、劇、彫刻、絵画、絵、歌、ダンス、写真、ビデオ、言葉、物語、詩、体の動き、コミュニケーションを学んでいきます。国際バカロレアの学習者プロフィールに書かれている内容に沿って、他の子供たちと遊ぶことを通して少しずつスキルを身につけていきます。このスキルは、学校教育の後期すべてに役立つものです。教師は各生徒の思考と理解の過程を観察し、各生徒のニーズを見極めサポートします。生徒は、学校のスケジュールに合わせて半日または1日単位でELCに通います。専門的な体育と音楽の授業は毎週1回行われます。

 

小学校:

小学校では、芸術、演劇、追加言語としての英語、生徒の家庭言語(母国語)、ICT(情報通信技術)、日本語、外国語、数学、音楽、体育、個人教育と社会教育、科学、社会を組み合わせて学習を進めていきます。国際バカロレアの初等教育プログラム(PYP)とカリキュラムに従って、学問的、社会的、感情的な幅広いトピックを探求していきます。 

 

中学校:

中学校に進むと、生徒はより自立した学習方法を学びます。国際バカロレアの中等教育プログラム(MYP)では、横浜インターナショナルスクールのカリキュラムを導く枠組みに沿って、批判的且つ創造的な思考を持つ人物の育成を行っていきます。生徒は音楽、ドラマ、ビジュアルアート、英語、言語(フランス語、スペイン語、日本語)、個人教育と社会教育、数学、体育、デザイン、科学を学びます。それに加えて、ソーシャルスキル、意思決定、自立心の育成に焦点を当てたチューターとの時間も設けています。

生徒が学習に用いる最新ツールを不自由なく使うことができるように、生徒全員にパソコンが配布され、教師は通常の授業に学習テクノロジーを取り入れています。

高校: 9年生と10年生(中学3年生と高校1年生)は、国際バカロレアの中等教育プログラム(MYP)の最後の2年間を修了し、11年生と12年生(高校2年生と高校3年生)の総合的な2年間のディプロマプログラムに進みます。ディプロマプログラムを修了するには、必修科目に加えて上級レベルのコースを3つと、標準レベルのコースを3つ修了しなければなりません。横浜インターナショナルスクールは、すべての学生に第一志望の科目を持つことを推奨しています。一般的なディプロマプログラムのカリキュラムと同様に、知の理論(ToK)、課題論文(EE)、創造性・活動・奉仕(CAS)のセクションを修了しなければなりません。様々なコースの組み合わせは可能ですが、ディプロマプログラムの構造上一緒に選択できる科目には制限があります。これらの制限についての詳しい詳細は、ディプロマプログラムをご覧ください。

11年生と12年生の一部の学生は、DPコースをオンラインで受講することも可能です。これらのコースはPamoja Educationとの提携により提供されています。生徒は多くの科目から選択可能で、世界中の他のIBスクールの教師やクラスメートと一緒に学ぶことができます。

 

リーダーシップ、部活動、スポーツ 横浜インターナショナルスクールの学習は、生徒の総合的な成長と発達を促す多くのプログラムによって強化されています。多くの遠足や校外学習、地元や世界のコミュニティとつながることのできる奉仕プログラム、参加型のアクティビティ、リーダーシップを発揮したり、身体能力を練習するための豊富な課外の部活動やスポーツなどが含まれています。

同校の校外教育プログラムは、自然の中での学習や、スキル構築、リスクを取る姿勢を推奨しています。その中でも「探検週間」は、同校のカリキュラムにおいて必用不可欠な存在となっています。4年生以降のプログラムでは様々な物理的環境を体験したり、グループ課題を通じてチームでリーダーシップを発揮することを奨励しています。各学年にユニークな探検が用意されています。例えば、ハイキング、ダイビング、ラフティング、スノーシューなどがあります。

奉仕活動は、同校での学生生活に必要不可欠な要素です。学校での多くの奉仕活動の機会があることで、生徒が地域のみならず国際レベルでコミュニティと関わりを持ったり、貢献することを可能にしています。社会に貢献するだけでなく、同校の奉仕活動クラブでは、そこに参加する生徒の成長にも重点を置いています。年齢や能力、地位の壁を取り払うことで学校内外で役立つスキルを身につけることができるのです。生徒が取り組む奉仕活動の課題には、地区センターの支援グループやさなぎ達サービスクラブを通じたホームレス問題、横浜インターナショナルスクール水中探検隊、高校環境クラブによる環境破壊、国際難民支援団体(RIJ)と人身売買撲滅グループによる強制退去などがあります。また、多くの異なる性別、性的指向、宗教、人種、民族グループもあります。

 

同校の部活動のスポーツチームは、楽しさ、一体感、能力開発に重点を置きながら高いレベルで競い合っています。中学校と高校のスポーツチームは、関東平野協会を通じて東京近郊のインターナショナルスクールと対戦しています。一部の高校のスポーツチームは、日本と韓国の学校合同でASIAリーグの試合を行っています。スポーツは秋、冬、春のシーズンに分けられており、バレーボール、クロスカントリー、テニス、サッカー、バスケットボール、フィールドホッケー、バドミントン、野球があります。

高校生の練習日は、月曜日、水曜日、金曜日の16時から18時、中学校の練習日は火曜日、木曜日の同時間に行われています。キャンパス内にある運動施設には、体育館、フットサル場、ダンススタジオです。チームは、全天候型の横浜カントリー・アンド・アスレティック・クラブのグラウンドを使用しています。開発中の新キャンパスには、独自の運動場、体育館2つ、屋内プールが建設予定です。

ミュージシャンやアーティスト志向の生徒には、演劇、アート、ダンスグループ、様々な楽器の練習グループ、様々なジャンルのバンドやアンサンブルなど数多くあります。また、天文学からガーデニングに至るまで、生徒が参加できる部活がたくさんあります。また、生徒会などリーダーシップに重点を置いた部活が多いのも同校の特徴です。

 

成果

直近3回の試験において、横浜インターナショナルスクールの国際バカロレアのディプロマ受験者の合格率は99%で、平均スコアは45点満点中35点でした。これに対して世界平均の合格率は80%で、平均スコアは30点です。

 

ACT入試では、同校の生徒の75%が26点以上であるのに対し、世界平均はわずか18%でした。また、同校の生徒の25%が32点以上であるのに対し、世界平均は3%でした。この素晴らしい成績はSAT®にも現れており、同校の生徒の75%が1100点以上(世界全体の38%)、生徒の25%が1360点以上(世界全体の8%)という成績を収めています。

 

同校の高校のプログラムでは、生徒が自分が教育において何を重視しているのかを評価し、卒業後にどんな教育環境が自分に最適かを生徒自身が評価する機会を十分に設けています。一人の生徒が出願できる大学を10校に制限することで、自分の個性に最も適した大学に出願できるように環境を整えています。直近の出願状況を見てみると、アメリカ(32%)、イギリス(23%)、アジア(17%)、カナダ(16%)、ヨーロッパ(11%)、オーストラリアやニュージーランド(1%)などの大学に進学しています。進学先の大学のリストは以下の通りです。

  • 香港科技大学

  • 慶應義塾大学

  • 早稲田大学
  • ソウル大学校
  • ケンブリッジ大学
  • インペリアル・カレッジ・ロンドン
  • コーネル大学
  • ニューヨーク大学
  • カリフォルニア大学バークレー校
  • トロント大学

本レポートに掲載されている情報は、横浜インターナショナルスクールの生徒様のご経験、生徒様と関わりのある東京アカデミックスの担当者の知識、The Good Schools Guide International横浜インターナショナルスクールのウェブページから掲載されています。