アメリカンスクールインジャパン(ASIJ)は、東京都調布市にある男女共学のアメリカの私立学校です。50カ国以上の国籍の生徒がこの学び舎で勉学に励んでいます。東京都心にある六本木ヒルズ内にはアーリーラーニングセンターがあり、調布キャンパス内には12年生(小学校、中学校、高校生)が過ごすキャンパスがあり、幼稚園はどちらのキャンパスにもあります。ASIJのメインキャンパスは東京都心の郊外にありますが、全てのキャンパスを繋ぐ専用のバスシステムが用意されているので、無料のアプリを使えば、東京都内のほとんどの場所から簡単・安全に送迎サービスを利用することができます。
ASIJは1902年に設立され、上級レベル(AP®)コースやその他の大学進学準備コースがあり、アメリカの高校卒業資格を取得できるカリキュラムを設けています。学業に加えて、生徒自身が芸術やスポーツ、課外奉仕活動に参加することを奨励しています。また、日本語と日本の文化を学ぶ姿勢も一貫して取り入れています。ASIJには、常時1,600名以上の生徒が在籍しています。卒業生からなるグローバルネットワークには、7,500名以上が参加しており、卒業後も長期にわたって強いコミュニティ意識を与える場が設けられています。
入学者選考
ASIJの入学手続きは、一般的に11月中旬から次年度の8月までの間に行われています。入学者の決定は、2月下旬から春にかけて行われています。出願時に必要な書類等は出願を希望するキャンパスによって異なります。以下をご参照ください。
高校(9年生から12年生)
最新の成績表を含む年間成績表2枚
教師3名による推薦書3通
生徒による小論文
全国共通テストの結果
ご連絡先
中学校(6年生から8年生)
最新の成績表を含む年間成績表2枚
教師3名による推薦書3通
生徒による小論文
全国共通テストの結果
ご連絡先
小学校(幼稚園年長から5年生)
最新の成績表を含む年間成績表2枚
教師3名による推薦書3通
全国共通テストの結果(入手可能な場合)
ご連絡先
幼稚園(六本木キャンパス内アーリーラーニングセンター、調布キャンパス内幼稚園)
最新の成績表を含む年間成績表1枚
教師1名による推薦書1通
ご連絡先
なお、推薦状には、推薦をする教師がお子様に関する機密情報の提供を許可する旨の記述が含まれている点にご留意ください。小学生の場合、最も適している推薦者はお子様の直近の担任教師2名です。中学生、高校生の場合は、推薦者のうち1人目は数学教師、2人目は英語の教師、3人目はカウンセラーもしくは校長先生でなければなりません。5年生の生徒が6年生への入学を希望する場合は、現在の担任教師や前任の担任教師、カウンセラーもしくは校長先生にご依頼されることをお勧めします。
同校との良好なコミュニケーションを行うために、最低でもご両親どちらかが英語を流暢に話すことができることを求められます。また、お子様は最低でもご両親どちらかと東京で同居し、ご両親のビザの扶養家族であることが条件となります。同校には、寮やホームステイのシステムはありません。
教育
小学校は、曜日に関係なく9日間のサイクルで運営されています。主要科目は英語、数学、社会、理科です。体育、ビジュアルアーツ、音楽の授業は9日間のサイクルのうち3回行われます。日本語の授業は、継承語もしくは外国語としての学習が毎日行われます。デジタル・シティズンシップ教育では、安全で責任のある効果的な方法でオンラインに関わるためのスキルの構築に重点を置いています。生徒にとって必用不可欠なテクノロジースキルを身に付けさせるために、授業にはテクノロジーが頻繁に取り入れられています。それに加えて、小学校の図書館を利用する時間も割り当てられています。
中学校のカリキュラムでは、生徒がある程度自由に選択できるようにしているため、多くの異なる科目やスキルに触れながら、自分の興味に沿って学習することができるシステムを設けています。また、毎日アドバイスを受けられる時間も設けているので、人間関係や時間管理、ソーシャルウェルネスや情緒的健康など、生徒にとって重要な事柄について教員と一緒に取り組むことを可能にしています。ASIJで用いられている「ATL(学習へのアプローチスキル)」という枠組みは、自身の生まれつきの能力を超える努力と決意を奨励しており、それらを評価することで、授業での成功に対する生徒のモチベーションを高めています。
中学校の全カリキュラムは以下の通りです。
すべての主要科目
人文科学(英語学と社会学の統合)
科学
数学
体育と健康
言語
日本語
中国語
スペイン語
パフォーマンス・製作
バンド
オーケストラ
探索的データ解析
ビジュアルアート(6年生・7年生)
デザインテクノロジー(6年生・7年生)
EXPLO8(8年生)
EXPLO8コースとは8年生の探究期間のことです。EXPLO8コースは8年生を対象にしており、生徒の興味をそそる能動的な学習のために設計された、クォーター制の学期ごとの短い探究コースです。各学期ごとに、異なるEXPLO8の授業を合計4クラス受講することが推奨されていますが、特別なリクエストがある場合やスケジュールに余裕がある場合にのみ、次学期にも授業を受けることができます。EXPLO8コースは、生徒の興味に基づいて決定されるため毎年変更されます。受講可能な授業には、芸術の探求、芸術の歴史、CSI:科学捜査、デジタル写真、ダイナミック・パブリックスピーカー、エンジニアリングデザインチャレンジ、独自の探求、ジャーナリズム、生活史、マネースマート、ネットスポーツ、パーソナルフィットネス、宇宙、チームスポーツ、テニス戦略、ヨガなどがあります。
高校では、英語、社会、数学、科学、現代語、体育、健康、ビジュアル・パフォーミングアーツ、CID(創造、革新、デザイン)といった必修科目と、選択科目を組み合わせて学習を深めていきます。また、生徒は必ず日本研究を1学期履修しなければなりません。これらの学科の多くは、準備ができた生徒にAP®クラスの機会を設けています。高校での多くの決定を行うためにアカデミックカウンセラーとの個人面談や、セミナー、ガイダンスにも参加できます。
生徒には、様々な種類のアドバンスド・プレイスメント(AP®)クラスが用意されています。カレッジボードが設計した集中プログラムであるAP® キャップストーン・ディプロマでは、大学入学前に、リサーチやライティング、コラボレーションのスキルを磨くことができます。AP®ディプロマプログラムは、AP®コースと各科目に特化した厳しいコースと試験を補完するものに該当します。AP® キャップストーン・ディプロマを取得するには、AP®セミナーとAP®リサーチコースに加えて、AP®の科目を4科目以上履修しなければなりません。ASIJは、以下の分野で20種類以上のAP®コースを提供しています。コースの詳細につきましては、以下をご参照ください。
芸術:
スタジオアート:ドローイングポートフォリオ
スタジオアート:2-Dデザインポートフォリオ
スタジオアート:3-Dデザインポートフォリオ
英語:
英語と作文
英文学と作文
歴史と社会科学:
ヨーロッパ史
マクロ経済学
アメリカ史
世界史
数学とコンピューターサイエンス
微積分AB
微積分BC
コンピューターサイエンスA
統計学
科学:
生物学
化学
環境科学
物理学2
現代語:
中国語と中国文化
日本語と日本文化
スペイン語とスペイン文化
セミナーと研究
また、ASIJのカリキュラムには、数多くの特徴的な独自のプログラムがあります。
ASIJのIMPACTプログラムでは、生徒が自己効力感を高めるためのスキルを身に着けたり、生徒が持つ学校の範囲を超えた学習への情熱を保てるように設計された学習の枠組みがあり、その可能性は実に多様で、生徒が自主的に生涯学習を続ける者になるようにと推進されています。このプログラムは、IMPACTのためのデザイン、IMPACTセミナー、IMPACTネットワーク、学習発表会の4つの要素から構成されています。IMPACTでの成功経験は、生徒自身が自分に合った大学や、夏に何か良い体験に恵まれる機会、インターンシップ、将来の目標を追求する機会への歩みを続けるための基礎となるのです。IMPACTプログラムへ参加した生徒には修了認定証が授与されます。
また、シラキュース大学プロジェクトアドバンス(SUPA)プログラムを通じて、シラキュース大学の授業も受講することができます。これは、シラキュース大学と中学校を結ぶコンカレントプログラムによるものです。このパートナーシップにより、ASIJの生徒は、シラキュース大学のコースを並行して履修することができ、大学の単位も取得することができます。ただし、シラキュース大学の単位を取得するには、シラキュース大学への登録料として約400ドル(アメリカ合衆国ドル)の支払いが必要な点にご留意ください。最近では、「起業家精神入門」と「クリエイティブ・ノンフィクション入門」を開講しています。
最後に、ASIJは、アメリカ合衆国や海外にある優れたインデペンデント・スクールである、グローバル・オンライン・アカデミー(GOA)のメンバー校の一員です。ASIJの生徒は、メンバー校の一員として、GOAを通じて1学期もしくは1年間のオンラインコースに登録して、世界中の仲間や教師たちと一緒に勉強することも選択可能です。GOAコースはGPAに含まれています。多くのGOAコースでは仲間や教師とのコラボレーションが必用不可欠です。そのため、生徒は時差を超えたコラボレーションとコミュニケーションをきちんと管理する能力を求められます。
リーダーシップ、部活動、スポーツ
ASIJでは、体育、芸術、奉仕、STEMなど、170種類以上もの部活動や共同による活動が学校全体で行われています。
ASIJのスポーツチームは、関東平野リーグや様々なトーナメントを通じて、15種類のスポーツで他の高校と競い合っています。ASIJのスポーツ哲学は、高校の一軍チーム、高校の二軍チーム、高校Bチーム(サポートメンバーのようなもの)に、できるだけ多くの生徒を参加させ、競争力のある経験を与えるというものです。選手、チームマネージャー、試合やイベントのサポートスタッフ、アスレティックトレーナー、コーチとして皆がチームに参加します。そうすることで、スポーツのエコシステムとしての全生徒の頑張りに、光を当てることができるのです。
また、高校演劇や中学生による映画製作などの部活動を通じて、芸術に対して深く取り組むことも可能です。毎年複数のミュージカルが開催されるため、生徒は演技、脚本、演出、編集、舞台美術に携わることができます。また、音楽に興味のある生徒は、関東平野の優秀成績を修めた生徒によるバンドや合唱団、オーケストラに参加したり、AIMSという音楽プログラムにも参加することが可能です。高校では、スピーチやディベートに興味のある生徒が人前で話す能力をさらに磨くためにチームに参加し、遠征をして大会などで競い合う体験をすることもできます。
また、同校は社会奉仕にも力を入れています。600名以上の生徒が、模擬国連やアムネスティ・インターナショナル、サービスプロジェクトなどの奉仕団体に参加をしています。それに加えて、東北の学生に英語を教えたり、地元の障がいのあるコミュニティの方々に芸術を教えたり、児童養護施設を退所する地元の10代の若者への支援や、恵まれない人々に上野公園で食べ物を作り、分け与える活動を行っており、その活動は日本にも大きな影響を与えています。
ASIJでは、全学年を通じてSTEMクラブが存在します。低学年は、簡単なコーディングや段ボールを用いた工学に取り組んでいます。中学・高校の高学年は、VEXロボティクス世界大会やiGEMバイオエンジニアリングプログラムにも参加しています。また、国際学術大会や北東アジア数学大会に参加したり、NASAやJAXAの講演者を招いてカンファレンスを開催したりと、ロボットやプログラミングアプリの構築に励んでいます。
ASIJのカリキュラムは、日本の文化とも融合しており、可能な限りユニークな校外学習を行っています。また、ASIJのジャパンセンターでは、書道、茶道、剣道のお稽古や、職人の方から直々に学ぶ機会を設けています。また、東京はASIJの社会奉仕プログラムの中心地でもあります。そのため、中学生はアウトドアな環境に身を置き、生徒同士で絆を深める「エクステンデッド・キャンパス・プログラム」を通じて、日本の自然を探求しながら学びを深めていきます。
成果
直近の卒業生の72%が、在学中にAP®科目を6つ以上履修しています。ASIJの生徒は、AP®において非常に優秀な成績を収めています。
直近のAP®試験(AP®日本語を除く)で、ASIJの生徒の成績が良かった科目は以下の通りです。
微積分BC(4.61、世界平均:3.84)
スタジオアート3D (4.50、世界平均:3.18)
リサーチ(4.29、世界平均:3.20)
直近のAP®試験で、ASIJの生徒の成績が悪かった科目は以下の通りです。
環境科学(3.38、世界平均:2.84)
英文学・英作文(3.56、世界平均:2.84)
セミナー(3.57、世界平均:3.06)
同校で最も成績が悪かったAP®の科目へ深く目を向けてみると、ASIJの生徒の成績は、それでも世界平均をかなり上回っていることが分かります。全体的に見ればこれらの結果はとても良い成績だと言えるのは一目瞭然であり、ASIJの生徒は世界的に見ても、平均的なAP®の受験者よりも優れていることが見て取れます。
共通テストの結果に関して見てみると、直近のASIJの生徒のSAT®という統一試験での読み書き(ERW)の平均スコアは650点、数学の平均スコアは690点(合計1340点)という結果でした。これに対し、全世界のSAT®の受験者の読み書きの平均スコアは528点、数学の平均スコアは523点(合計1051点)という結果でした。ACT試験では、ASIJの生徒の総合スコアは36点満点中30点で、全世界の平均は20.7点という結果でした。
大学進学に関して目を向けてみると、直近の卒業生の73%がアメリカの大学に進学しています。カナダとイギリスの大学へはそれぞれ卒業生の6%が進学しており、12%がその他の国の大学に進学しています。日本で教育を続けたのはわずか3%でした。
近年、ASIJの卒業生は、以下の大学に進学しています。
ダートマス大学 (アメリカ)
ハーバード大学 (アメリカ)
ジョンズ・ホプキンズ大学 (アメリカ)
マサチューセッツ工科大学 (アメリカ)
ニューヨーク大学 (アメリカ)
プリンストン大学 (アメリカ)
スタンフォード大学 (アメリカ)
カリフォルニア大学バークレー校 (アメリカ)
カリフォルニア大学ロサンゼルス校 (アメリカ)
イェール大学 (アメリカ)
トロント大学 (カナダ)
マギル大学 (カナダ)
慶應義塾大学 (日本)
早稲田大学 (日本)
インペリアル・カレッジ・ロンドン (イギリス)
ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン (イギリス)
オックスフォード大学 (イギリス)
セント・アンドルーズ大学 (イギリス)
ニューヨーク大学アブダビ校 (アラブ首長国連邦)
ニューヨーク大学上海校 (中国)
本レポートに掲載されている情報は、アメリカンスクールインジャパンの生徒様のご経験、生徒様と関わりのある東京アカデミックスの担当者の知識、The Good Schools Guide International、アメリカンスクールインジャパンのウェブページから掲載されていま